「でんさいとファクタリング、何が違うの?」と疑問を持つ経営者や財務担当者は少なくありません。どちらも売掛債権に関わる金融手段ですが、その目的・仕組み・コストは大きく異なります。誤った選択をすると、余計なコストや取引先との関係悪化を招くリスクもあります。この記事では、でんさいとファクタリングの違いを7つの観点で徹底比較し、自社に最適な選択ができるよう分かりやすく解説します。
でんさいとファクタリングの違いを一目で理解【比較表付き】

でんさいとファクタリングは、どちらも売掛債権に関わる金融手段として混同されがちですが、本質的な目的と仕組みがまったく異なります。
でんさいは主に「決済の効率化」を目的とした電子的な支払い手段であり、ファクタリングは「資金の早期調達」を目的とした債権売却サービスです。
この章ではまず両者の本質的な違いを簡単に整理し、比較表で全体像を把握しましょう。
決済手段と資金調達手段|本質的な違いを簡単に解説
でんさい(電子記録債権)は、企業間の商取引における代金の支払いを電子的に行うための決済インフラです。
従来の約束手形に代わるものとして生まれ、支払い期日に自動決済されることで、受取側は確実に入金を受けられます。
一方、ファクタリングは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、支払期日を待たずに現金を得る資金調達サービスです。
つまり、でんさいは「どう支払うか」を最適化するツールであり、ファクタリングは「いつ資金を得るか」を前倒しするツールです。
この根本的な違いを理解することで、自社の課題がどちらで解決できるかが明確になります。
7項目で比較|でんさいとファクタリングの違い早見表
以下の比較表で、両者の主な違いを一覧確認してください。
| 比較項目 | でんさい | ファクタリング |
|---|---|---|
| 目的 | 決済効率化・支払い管理 | 早期資金調達 |
| 運営主体 | 全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット) | 民間のファクタリング会社 |
| 手数料目安 | 年率換算0.5〜1.5%程度(割引時) | 売掛金の2〜20% |
| 現金化スピード | 割引利用で数日〜1週間程度 | 最短即日〜数日 |
| 審査対象 | 利用企業・取引先双方 | 主に売掛先(取引先) |
| 取引先への通知 | 基本的に通知あり | 2社間は通知なし、3社間は通知あり |
| 導入ハードル | 取引先も同意・登録が必要 | 自社単独で利用可能 |
でんさい(電子記録債権)とは?仕組みをわかりやすく解説

でんさいとは、電子記録債権法(2008年施行)に基づく電子的な金銭債権のことで、正式名称は「電子記録債権」です。
全国銀行協会が設立した株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)が管理・運営する公的インフラとして位置づけられており、信頼性の高い決済手段です。
でんさいの基本的な仕組みと3つの機能
でんさいの基本的な流れは以下の通りです。
- 売り手(債権者)と買い手(債務者)がそれぞれ取引銀行でんさいネットに加入する
- 買い手が「でんさい」を発生させ、支払期日・金額・相手方口座を登録する
- でんさいネットの記録原簿に電子的に記録される
- 支払期日に自動的に決済が行われ、売り手の口座に入金される
でんさいには主に3つの機能があります。
- 発生記録:電子的に債権を発生させる機能。約束手形の振り出しに相当します。
- 譲渡記録:でんさいを第三者に譲渡できる機能。手形の裏書に相当します。
- 分割記録:1つのでんさいを金額単位で分割して譲渡できる機能。手形にはない利便性です。
手形との違い|でんさいが生まれた背景とメリット
でんさいは、従来の約束手形が抱えていた問題点を解消するために生まれました。
約束手形は紙の証書であるため、紛失・盗難リスク・印紙税の負担・収受・保管コストなどの課題がありました。
でんさいはこれらをすべてデジタル化することで解決しています。
| 比較項目 | 約束手形 | でんさい |
|---|---|---|
| 形式 | 紙の証書 | 電子データ |
| 印紙税 | 必要(金額に応じて) | 不要 |
| 紛失・盗難リスク | あり | なし |
| 分割 | 不可 | 可能 |
| 保管コスト | あり(金庫等が必要) | なし |
なお、政府の方針として約束手形の利用廃止に向けた取り組みが進められており、でんさいへの移行が加速しています。
でんさい割引とは?期日前に現金化する方法
でんさい割引とは、支払期日前のでんさいを取引金融機関に売却(譲渡)することで、期日より早く現金を受け取る方法です。
手形割引と同様の仕組みで、割引率(手数料)は金融機関や期日までの残日数によって異なりますが、一般的に年率0.5〜1.5%程度と比較的低コストです。
でんさい割引のプロセスは以下の通りです。
- でんさいを受け取った企業(受取人)が取引銀行に割引申請を行う
- 銀行が信用審査を実施する
- 承認後、手数料を差し引いた金額が即座に入金される
- 支払期日に債務者から銀行へ直接決済される
ただし、でんさい割引は遡及(さかのぼり)請求ありのため、万一債務者が倒産した場合は売却した企業が代わりに支払う義務が生じる点に注意が必要です。
ファクタリングとは?仕組みをわかりやすく解説

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に売却し、支払期日前に現金を得る資金調達サービスです。
近年、中小企業や個人事業主を中心に急速に普及しており、銀行融資が難しい場合の代替手段としても活用されています。
ファクタリングの基本的な仕組み|売掛債権を売却して現金化
ファクタリングの基本的な流れを確認しましょう。
- 企業(利用者)が商品・サービスを取引先(売掛先)に提供し、売掛債権が発生する
- 利用者がファクタリング会社に売掛債権を売却する契約を結ぶ
- ファクタリング会社が審査を行い、手数料を差し引いた金額を利用者に支払う
- 支払期日に売掛先から直接または利用者を通じてファクタリング会社へ代金が支払われる
ファクタリングの最大の特徴は、売掛先の信用力に基づいて資金調達できる点です。
利用者自身の信用情報や財務状況よりも、売掛先(取引先)の信用力が重視されるため、自社の経営状況が厳しくても利用できるケースがあります。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い
ファクタリングには大きく2つの形態があります。
【2社間ファクタリング】
利用者とファクタリング会社の2社間で完結します。取引先(売掛先)への通知・同意が不要なため、取引先に知られずに資金調達できるのが最大のメリットです。
ただし、ファクタリング会社が負うリスクが高いため、手数料は売掛金の10〜20%程度と高めに設定されることが多いです。
【3社間ファクタリング】
利用者・ファクタリング会社・売掛先の3社間で契約します。売掛先がファクタリングの事実を知り、支払い先変更に同意する必要があります。
売掛先が直接ファクタリング会社へ支払うため、手数料は売掛金の2〜9%程度と2社間より低コストで利用できます。
| 比較項目 | 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング |
|---|---|---|
| 関係当事者 | 利用者・ファクタリング会社 | 利用者・ファクタリング会社・売掛先 |
| 売掛先への通知 | 不要 | 必要 |
| 手数料目安 | 10〜20% | 2〜9% |
| 現金化スピード | 最短即日 | 数日〜2週間程度 |
| 主な用途 | 秘密保持優先・急ぎの資金調達 | コスト優先・継続利用 |
ファクタリングと融資の違い|借入ではない理由
ファクタリングは「融資(借入)」ではなく「債権の売買」であるため、以下の重要な違いがあります。
- 負債にならない:融資は貸借対照表の負債に計上されますが、ファクタリングは売掛金という資産が現金に変わるだけで負債が増えません。
- 信用情報に影響しない:借入ではないため、信用情報機関(CIC・JICCなど)への登録がありません。
- 担保・保証人が不要:売掛債権自体が担保代わりとなるため、不動産担保や個人保証が原則不要です。
- 返済義務がない:売却した債権の回収はファクタリング会社が行うため(ノンリコース型の場合)、利用者に返済義務が生じません。
ただし、2社間ファクタリングでは利用者が一旦売掛金を回収し、ファクタリング会社へ送金する義務があるため、この資金を他の用途に流用することは横領罪(刑法)に該当する可能性があります。
でんさいとファクタリングの違いを7つの観点で徹底比較

ここからは、でんさいとファクタリングの違いを7つの観点で詳しく掘り下げます。
それぞれの特性を深く理解することで、自社の状況に合った最適な選択が可能になります。
運営主体・法的根拠の違い
でんさいは、電子記録債権法(平成19年法律第102号)という法律を根拠に、全国銀行協会が出資して設立した株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)が運営する公的インフラです。
国が制定した法律に基づき、金融庁の監督下にある銀行が関与する仕組みのため、法的安全性・透明性が非常に高いのが特徴です。
ファクタリングは、現在のところファクタリング専業者を直接規制する法律はありませんが、貸金業法や民法上の債権譲渡規定の適用を受けます。
民間のファクタリング会社が独自に運営しており、品質・信頼性は会社によって大きく異なります。
金融庁は悪質なファクタリング業者への注意喚起を行っており、利用者は金融庁公式サイトでも最新情報を確認することが推奨されます。
利用目的の違い|決済効率化と資金調達
両者の利用目的は根本的に異なります。
でんさいの主な利用目的:
- 取引先との支払い・受け取りを電子化して事務コストを削減したい
- 約束手形を廃止してペーパーレス化を実現したい
- 支払い管理・期日管理を自動化・効率化したい
- 将来の資金繰りを予測しやすくしたい
ファクタリングの主な利用目的:
- 支払期日前に売掛金を現金化して資金繰りを改善したい
- 急な資金需要(仕入れ・設備投資・税金支払いなど)に対応したい
- 銀行融資を受けにくい状況で資金を調達したい
- 貸借対照表を健全化(オフバランス化)したい
でんさいは「支払いの仕組み改善」、ファクタリングは「今すぐ資金が必要」という状況に対応するツールと整理するとわかりやすいでしょう。
手数料・コストの違い【具体的な数値で解説】
コスト面では両者に大きな差があります。
でんさいのコスト:
- でんさいネット利用料:月額数千円程度(金融機関によって異なる)
- でんさい割引手数料:年率0.5〜1.5%程度(残存日数・金融機関・債務者の信用力による)
- 印紙税:不要(手形からの大きなコスト削減)
例えば、1,000万円のでんさいを期日90日前に割引した場合、手数料は約12,000〜37,000円程度(年率0.5〜1.5%換算)と非常に低コストです。
ファクタリングのコスト:
- 2社間ファクタリング:売掛金の10〜20%
- 3社間ファクタリング:売掛金の2〜9%
例えば、1,000万円の売掛金を2社間ファクタリングで現金化した場合、手数料は100万〜200万円になります。
コスト面ではでんさい割引が圧倒的に有利ですが、でんさい割引は取引先がでんさいを利用していること・銀行審査通過が前提となります。
審査対象・審査基準の違い
でんさい(割引時)の審査:
でんさい割引を利用する場合、金融機関はでんさいを振り出した企業(債務者=買い手)の信用力を審査します。
加えて、でんさいを割り引く申請者(債権者)自身の信用力も審査されます。
銀行の審査基準は厳格であり、債務者や申請者の財務状況・取引実績・信用情報が重視されます。
ファクタリングの審査:
ファクタリングでは、主に売掛先(取引先)の信用力が審査対象となります。
利用者(売り手)自身の財務状況や信用情報よりも、「売掛先は期日通りに支払えるか」が重要なポイントです。
そのため、自社の業績が悪くても上場企業や大企業への売掛金であれば審査に通りやすい傾向があります。
現金化までのスピードの違い
資金が必要なタイミングの緊急度によって、どちらが適しているかが変わります。
でんさい割引のスピード:申込から入金まで通常数日〜1週間程度かかります。銀行の審査プロセスが必要なためです。
ファクタリングのスピード:2社間ファクタリングでは最短即日〜翌日での入金が可能なサービスも多く存在します。
3社間ファクタリングは売掛先の承認が必要なため、数日〜2週間程度かかるのが一般的です。
急な資金需要には2社間ファクタリング、コストを抑えたい場合はでんさい割引や3社間ファクタリングが適しています。
取引先への通知・影響の違い
取引先への影響は、特に中小企業にとって重要な判断基準となります。
でんさいの場合:でんさい自体は取引先との合意のもとで発行されるため、取引先はでんさいの存在を知っています。
ただし、でんさい割引(期日前の現金化)については取引先への通知義務はありません。割引の事実が取引先に知られることはほとんどありません。
ファクタリングの場合:
- 2社間ファクタリング:取引先への通知なし。ただし、売掛金の支払先が変わらないため、取引先は関与しません。
- 3社間ファクタリング:取引先への通知・同意が必須。取引先がファクタリングの利用を知ることになります。
「資金繰りに困っているのでは?」と取引先に思われることを避けたい場合は、2社間ファクタリングまたはでんさい割引が適しています。
利用条件・導入ハードルの違い
でんさいの導入条件:
- 利用者・取引先の双方がでんさいネットに加入している金融機関に口座を持つ必要があります。
- 取引先の協力・同意が必要であり、取引先がでんさいを利用していない場合は使えません。
- 金融機関との取引実績・信用力が必要です。
ファクタリングの導入条件:
- 売掛債権が存在すること(請求書・契約書等で証明できること)
- 2社間ファクタリングは取引先の同意不要で自社単独で申込可能
- 設立年数・売上規模の条件は会社によって異なり、創業直後でも利用できるサービスが多い
- 個人事業主でも利用可能なサービスが存在します
導入のしやすさという点では、ファクタリングの方がハードルが低いと言えます。
でんさいのメリット・デメリットと向いている企業

でんさいを利用すべきかどうかを判断するために、メリット・デメリットを整理します。
でんさいの5つのメリット
- ①コストが低い:印紙税が不要、でんさい割引の手数料は年率0.5〜1.5%程度と融資・ファクタリングより低コストです。
- ②ペーパーレス化・事務効率化:紙の手形に伴う印刷・郵送・保管作業が不要になり、管理コストを大幅に削減できます。
- ③分割譲渡が可能:必要な金額分だけでんさいを分割して現金化できるため、資金繰り管理が柔軟になります。
- ④安全性が高い:でんさいネットという公的インフラで管理されるため、紛失・盗難・偽造のリスクがありません。
- ⑤支払い管理の自動化:期日管理が電子化されるため、入金確認や督促業務の負担が軽減されます。
でんさいの3つのデメリット・注意点
- ①取引先の協力が必須:取引先もでんさいネット加入金融機関に口座を持ち、でんさいを発行することに同意してもらう必要があります。取引先が中小企業や個人事業主の場合、対応していないケースもあります。
- ②即日現金化は難しい:でんさい割引は銀行審査が必要なため、最短でも数日かかります。緊急の資金需要には対応しにくい面があります。
- ③遡及請求リスクがある:でんさい割引は原則として遡及(遡り)ありのため、売掛先が倒産した場合、割り引いた企業が代わりに支払わなければなりません。
でんさいが向いている企業の特徴
- 取引先が比較的大手・上場企業など信用力の高い企業中心の場合
- 手形取引が多く、電子化・ペーパーレス化を推進したい企業
- 継続的に低コストで資金繰りを安定させたい企業
- 取引銀行との関係が良好で、銀行融資・割引審査を通過できる企業
- 緊急の資金需要よりも経常的な決済効率化を重視する企業
ファクタリングのメリット・デメリットと向いている企業

ファクタリングのメリット・デメリットも詳しく確認しましょう。
ファクタリングの5つのメリット
- ①最短即日で現金化できる:2社間ファクタリングなら申込当日に入金が受けられるサービスがあります。急な資金需要に対応できます。
- ②取引先の同意不要(2社間):自社単独で申込でき、取引先に知られずに資金調達できます。
- ③負債にならない:売掛債権の売却であるため、借入とは異なり貸借対照表に負債が計上されません。財務指標の悪化を防げます。
- ④自社の信用力に依存しない:利用者自身の業績・信用情報ではなく、売掛先の信用力で審査されるため、赤字・税金滞納があっても利用できるケースがあります。
- ⑤担保・保証人が不要:売掛債権自体が担保となるため、不動産担保や連帯保証人が不要です。
ファクタリングの3つのデメリット・注意点
- ①手数料が高い:2社間では売掛金の10〜20%と高コストです。頻繁に利用すると資金繰りが悪化する逆効果を生む可能性があります。
- ②悪質業者のリスクがある:ファクタリングは専業者を規制する専門法がなく、悪質な業者も存在します。過度に高い手数料や、実質的に高利貸しと判断されるケースも報告されています。
- ③継続利用による依存リスク:緊急避難的な利用は有効ですが、資金繰り改善の根本解決をせずにファクタリングを繰り返すと、手数料負担で経営が悪化するリスクがあります。
ファクタリングが向いている企業の特徴
- 急な資金需要が発生した企業(仕入れ先への早期支払い要請、税金・社会保険料の支払いなど)
- 銀行融資の審査が通りにくい中小企業・スタートアップ
- 売掛金の回収サイトが長く(60〜120日など)、資金繰りのギャップが生じやすい業種(建設業・医療機関・IT受託開発など)
- 取引先に知られずに資金調達したい企業
- 個人事業主・フリーランスで売掛金がある方
でんさいとファクタリングどちらを選ぶべき?判断フローチャート

「どちらを使えばいいか迷っている」という方のために、5つの質問で最適な選択肢を判断できるフローチャートと早見表を用意しました。
5つの質問でわかる最適な選択肢
以下の質問に順番に答えてください。
- Q1. 今すぐ(今日中・翌日)に資金が必要ですか? → はい:ファクタリング(2社間)へ。いいえ:Q2へ。
- Q2. 取引先はでんさいを利用していますか(または利用可能ですか)? → はい:でんさい割引を検討。いいえ:Q3へ。
- Q3. 取引先に資金調達を知られたくないですか? → はい:ファクタリング(2社間)。いいえ:Q4へ。
- Q4. コストをできる限り抑えたいですか? → はい:でんさい割引または3社間ファクタリング。いいえ:Q5へ。
- Q5. 決済の効率化・ペーパーレス化が主な目的ですか? → はい:でんさい。資金調達が目的:ファクタリング。
業種・状況別おすすめ早見表
| 業種・状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 建設業(下請け) | ファクタリング(2社間) | 元請けとの力関係でんさい導入が難しく、回収サイトが長い |
| 製造業(大企業取引メイン) | でんさい | 大企業はでんさい対応が多く、低コストで継続利用できる |
| 医療機関・調剤薬局 | ファクタリング(診療報酬) | 社会保険診療報酬を売掛金としてファクタリング可能 |
| IT・受託開発 | ファクタリング(2社間) | 成果物納品後の長期回収に対応できる |
| 卸売業(継続取引) | でんさい | 継続的な大口取引で低コストの電子決済が有効 |
| 個人事業主・フリーランス | ファクタリング | でんさいは個人事業主には導入ハードルが高い |
でんさい・ファクタリングの利用開始までの流れ

それぞれの利用開始手順と、悪質業者を避けるための注意点を解説します。
でんさいを利用開始する3ステップ
- STEP1. 取引銀行への相談・申込:でんさいネット参加金融機関(メガバンク・地方銀行・信用金庫など)の窓口でサービス申込を行います。でんさいネット公式サイトで参加金融機関を確認できます。
- STEP2. 審査・口座開設:金融機関の審査を経て、でんさい専用の口座・サービスが開設されます。取引先にもでんさいの利用を案内し、同意を得ます。
- STEP3. でんさい発生・受取・割引の開始:取引先がでんさいを発行し、受け取り後に必要に応じて割引(期日前現金化)を申請します。
ファクタリングを利用開始する3ステップ
- STEP1. 申込・必要書類の準備:ファクタリング会社のウェブサイトや電話で申込。必要書類は一般的に「請求書・発注書」「通帳コピー(直近3〜6ヶ月)」「登記簿謄本・決算書」などです。
- STEP2. 審査・契約:ファクタリング会社が売掛先の信用力を審査します。審査通過後、契約内容(手数料・入金日・契約形態)を確認して契約を締結します。
- STEP3. 入金・売掛金回収:契約後、手数料を差し引いた金額が指定口座に振り込まれます。2社間の場合は、売掛先から入金後にファクタリング会社へ送金します。
悪質業者を見分けるポイント
ファクタリングは参入規制が緩いため、悪質業者が存在します。以下のポイントに注意してください。
- 手数料が異常に高い(30%超など):適正な手数料(2社間10〜20%、3社間2〜9%)を大幅に超える場合は要注意。実質的な貸付と判断され出資法・貸金業法に違反する可能性があります。
- 契約書を交付しない・口頭のみで契約を求める:正規のファクタリングは必ず書面で契約します。
- 個人の連帯保証・担保を求める:売掛債権の売買であれば担保・保証は不要のはずです。
- 給与ファクタリングと称するサービス:給与を対象とする「給与ファクタリング」は金融庁が貸付に当たると判断しており、金融庁の注意喚起が出ています。
でんさいとファクタリングの違いに関するよくある質問

でんさいとファクタリングについて、よく寄せられる質問をまとめました。
でんさいとファクタリングは併用できる?
Q. でんさいとファクタリングを同時に使うことはできますか?
A: 基本的に併用可能です。でんさいは取引先との決済手段として導入しつつ、急な資金需要が生じた際にファクタリングを活用するといった使い分けが有効です。ただし、同じ債権を二重に現金化することは契約違反・詐欺に該当するため、絶対に行ってはいけません。
個人事業主でも利用できる?
Q. 個人事業主でもでんさい・ファクタリングは利用できますか?
A: ファクタリングは個人事業主でも利用できるサービスが多数あります。売掛債権(請求書)が存在すれば申込可能です。一方、でんさいは個人事業主でも利用可能ですが、取引銀行の審査・取引先のでんさいネット加入が必要なため、導入ハードルは法人より高い傾向があります。
税務・会計処理はどう違う?
Q. でんさいとファクタリングの会計処理はどう異なりますか?
A: でんさい割引では、でんさいを割り引いた際に「電子記録債権売却損(割引料)」として費用計上します。ファクタリングでは、売掛金をファクタリング会社へ売却した際に、売却損(手数料相当)を「売掛債権売却損」として費用計上します。いずれも負債は増加せず、資産(売掛金・でんさい)が現金に変わる処理となります。詳細は顧問税理士にご確認ください。
取引先が倒産した場合のリスクは?
Q. 売掛先(取引先)が倒産した場合、それぞれどうなりますか?
A: でんさい割引は遡及あり(リコース型)のため、倒産時は割り引いた企業が金融機関へ代わりに支払う義務があります。ファクタリングはノンリコース(償還請求権なし)が一般的で、売掛先の倒産リスクをファクタリング会社が負います。ただし、契約書に遡及条項がある場合は例外となるため、契約内容の確認が必須です。
信用情報に影響はある?
Q. でんさい割引やファクタリングの利用は信用情報機関に登録されますか?
A: ファクタリングは債権の売買であり借入ではないため、原則として信用情報機関(CIC・JICCなど)への登録は行われません。でんさい割引も銀行との取引記録として管理されますが、信用情報機関への登録はありません。ただし、銀行のでんさい割引は融資枠の一部として管理されることがあり、銀行全体の信用判断には影響する場合があります。
まとめ|違いを理解して自社に最適な資金調達方法を選ぼう
でんさいとファクタリングの違いについて、7つの観点から徹底比較しました。最後に重要ポイントを整理します。
- 目的の違い:でんさいは決済効率化・電子化のツール、ファクタリングは売掛金の早期現金化による資金調達ツールです。
- コストの違い:でんさい割引は年率0.5〜1.5%程度と低コスト、ファクタリングは2〜20%程度と高め。緊急性・利便性とのトレードオフで選択を。
- スピードの違い:急ぎの資金調達にはファクタリング(2社間・最短即日)、計画的な資金繰りにはでんさい割引。
- 導入ハードル:ファクタリングは自社単独で申込可能。でんさいは取引先の協力が必要。
- 悪質業者への注意:ファクタリングを利用する際は手数料・契約書・担保要求などを必ず確認し、金融庁公式情報も参考にしてください。
自社の状況(資金の緊急度・取引先との関係・コスト許容範囲)を踏まえて、最適な手段を選択しましょう。
まずは取引銀行へのでんさい相談や、複数のファクタリング会社への無料見積もりから始めることをおすすめします。


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